私たちは未来に文化遺産をどれだけ残せるのか
 しいのき迎賓館(金沢市)で講演会。写真展は3/24まで開催

 3月17日、本センターが主催する「写真展&国際講演会」(共催:大塚国際美術館、後援:文化庁・石川県)が、金沢市のしいのき迎賓館において始まりました。
初日の国際講演会では、センター長の宮下教授による基調講演「壁画の修復と保存を考える」に続き、今回はイタリア政府機関であるイタリア文化会館よりドナーティ館長をゲストに迎えた対談を行い、「私たちは未来に文化遺産をどれだけ残せるのか」をテーマに「日伊の比較文化論」が展開されました。

 当日講演会に参加した約80名の参加者ひとりひとりが、事前に配布した賛否を示すカードを手に議論に加わり、会場が一つになって熱い議論が交わされました。
 最後に、金沢大学の田中隆治理事が科学者の立場で講演会を聴講した感想とまとめの挨拶があり、大変有意義な会となりました。


賛否を示して議論に参加する満場の参加者(しいのき迎賓館 セミナールームにて)

ゲスト紹介
 ウンベルト・ドナーティ (Umberto Donati)
 イタリア政府機関 イタリア文化会館館長
宮下孝晴教授の基調講演 宮下教授とドナーティ館長の対談 田中理事よりまとめの挨拶

 一方、写真展は3月24日まで開催。展示は二部構成になっており、本センターが撮影・記録した貴重な写真・映像を提供しているほか、セラミック・アーカイブの可能性について本センターと共同研究を進めている大塚オーミ陶業(株)の協力を得て、同社が陶板で原寸復元した高松塚古墳の西壁女子群像(飛鳥美人)も特別展示され、『触れてもよい展示品』でもあることから、来場者の関心を集めていました。


写真展会場(しいのき迎賓館)

展示会場の案内 模写作品の案内 陶板復元された「飛鳥美人」 展示会場入り口

展示内容

○第T部サンタ・クローチェ プロジェクト
2004年から6年の歳月をかけて完成した高さ26mにおよぶ大壁画、サンタ・クローチェ教会 大礼拝堂の「聖十字架物語」を診断・調査・修復する過程を記録した写真パネルで紹介。さらに本センター所属の大村雅章教授の手による模写作品などを展示している。

○第U部テバイデ・プロジェクト
本センターが現在進行形で取り組んでいるプロジェクト(南イタリアに点在する洞窟教会に描かれた中世壁画群の現状を、これ以上劣化が進む前にデジタル・データで記録。後世の修復に参照可能なアーカイブ形成をめざすもの)を紹介するもので、2011年9月に実施した現地調査(イタリア・プーリア州)の様子をビデオ映像と写真で展示してる。


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