金沢大学 フレスコ壁画研究センター

 世界遺産イタリアのフィレンツェ三大教会のサンタ・クローチェ教会大礼拝堂の壁画修復プロジェクトは、国立大学が美術作品の修復で国際共同プロジェクトを組んだ最初のものであり、金沢大学、国立フィレンツェ修復研究所(Opificio delle Pietre Dure di Firenze)、サンタ・クローチェ教会(Opera di Santa Croce)の国際共同研究事業として、2004年から5年計画で着手したものです。イタリアでも最大級(820u)の14世紀末のフレスコ壁画連作「聖十字架物語」(アーニョロ・ガッディ作)が初めて最新の科学テクノロジーで診断調査され、これまでの美術史的な位置付けや図像解釈に新知見をもたらすこととなりました。

 このプロジェクトの実績に基づき、平成22年度文部科学省の特別経費として予算が措置され、2010年4月から北イタリアと比較して文化遺産の修復・保存が大きく遅れている南イタリアに点在する中世壁画群を最先端の科学テクノロジーを導入し診断調査と壁画の現状を多角的かつ高精細のデジタルデータで記録するデジタルアーカイブの形成をめざし、金沢大学と国立フィレンツェ修復研究所に研究拠点を設置し、日伊共同プロジェクト(4年計画)に着手しています。