「文化財のアーカイブ」めぐり活発な討論
 大塚国際美術館(鳴門市)で講演会。写真展は3/11まで開催

 1月29日、本センターが主催する「写真展&国際講演会」(共催:大塚国際美術館、後援:文化 庁・石川県)が、徳島県鳴門市の大塚美術館において始まりました。
初日の国際講演会では、センター長の宮下教授による基調講演「壁画の修復と保存を考える」に続き、文化財の保存やアーカイブに造詣の深い専門家をパネリストに迎え、宮下教授の司会の下、「デジタル・アーカイブとセラミック・アーカイブの可能性」をテーマに、世界の文化遺産を次世代に残すため今何が必要か、活発な討論を行いました。
会場には、全国から200名を超える美術愛好家らが参加し、熱心に耳を傾けていました。


満席の講演会場(大塚国際美術館 システィーナホールにて)

パネリスト紹介
 ■大杉栄嗣氏 セラミック・アーカイブの可能性を追求する大塚オーミ陶業より参加。
 ■平田雅男氏 日本の高度な製陶技術で世界の名画を原寸大で再現することにより誕生した
  大塚国際美術館。その運営に創設から20年にわたり携わる。
 ■栗原祐司氏 文化庁文化財部美術学芸課長
  日米のミュージアム7,000館に足を運び独自の博物館学を樹立。
 ■建石徹氏 文化庁壁画対策調査官
  日本古代の高松塚古墳やキトラ古墳等の古墳壁画の保存対策を担当。
講演会場(システィーナホール) パネルディスカッション スクロヴェーニ礼拝堂(館内施設)の解説

 講演前に写真展会場で行われた宮下教授の解説は「サンタ・クローチェ・プロジェクト」と「日伊 共同のテバイデ・プロジェクト(4年計画)」での南イタリア(プーリア州)における現地調査の様子 を展示した写真パネルと映像についてだけでなく、同美術館が誇る高度な製陶技術により再現・複製 されていた「スクロヴェーニ礼拝堂」にも及び、参加者はイタリアの現場にいるような臨場感を味わい、 興味深く見入っていました。

 一方、写真展は3月11日まで開催。展示は二部構成になっており、本センターが撮影・記録した貴重な写真・映像を提供しています。


写真展会場(大塚国際美術館)

展示解説に聴き入る参加者 写真展会場(俯瞰) 壁画模型と映像パネル 大村教授の模写作品
○第T部サンタ・クローチェ プロジェクト
2004年から6年の歳月をかけて完成した高さ26mにおよぶ大壁画、サンタ・クローチェ教会 大礼拝堂の「聖十字架物語」を診断・調査・修復する過程を記録した写真パネルで紹介。さらに本センター所属の大村雅章教授の手による模写作品などを展示している。
○第U部テバイデ・プロジェクト
本センターが現在進行形で取り組んでいるプロジェクト(南イタリアに点在する洞窟教会に描かれた中世壁画群の現状を、これ以上劣化が進む前にデジタル・データで記録。後世の修復に参照可能なアーカイブ形成をめざすもの)を紹介するもので、2011年9月に実施した現地調査(イタリア・プーリア州)の様子をビデオ映像と写真で展示してる。


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