HOME »  むしとりあみ通信 »  交流会

むしとりあみ通信

氏名:中村晃規
専門:生態学
里山の動植物の話題,自然学校の日々の活動で感じたことなどを伝えます

交流会

四大学間交流会 in 「京女の森」 (2)〜京女の森への道すがら〜

京都女子大での交流会は,毎年校内での報告会の後,左京区大原からさらに山奥に入った通称「京女の森」に移動し,「月見の宴」をおこないます.
「京女の森」へは,細い林道を通ったり,急勾配の坂をあがったり,時には舗装していない道を通りつつ向かいます.
実は私はこの道中に通過する集落の風景が大好きです.山間の集落はどれも昔ながらの農村景観を見せてくれます.「京女の森」に行く機会がありましたら,どうかこの地域の風景を楽しんでください.

ここでは,昨年と今年,「京女の森」までの道すがらに立ち寄った2軒の農家を紹介します.

05-03.jpg
大原の百井集落で今年立ち寄った農家.山菜料理を食べさせる民宿もやっているようです.
みんなタクシーから降りて,高桑先生の解説を聞いています.




05-01.jpg
この建物の横には,割った薪がびっしりと積んでありました.このようにうまく積むには,それなりの技術が必要だと聞いたことがあります.これらの薪は,台所の煮炊きやお風呂を涌かすのに使われます.









05-02.jpg
玄関先の軒下では,チマキザサを干していました.このササは来年の祇園祭に使われるとのこと(用途はわかりません.ちまきに使う?).また一部はお茶として飲みます.

この建物に住むご夫婦は,今でも炭焼きをやっているそうです.そういえば少し離れた場所に炭焼き小屋がありました.あの場所で焼いているのでしょうか?


04-01.jpg
こちらは昨年と今年,2年とも帰りに立ち寄った農家.建物は築350年とのこと.「角間の里」は築280年だから,70年先輩.





04-02.jpg
室内から屋根裏を見ると元は茅葺き屋根だったことがわかる.手入れが大変なので,前の写真のようにトタンをかぶせたと説明していただいた.葺き替えが出来る職人もなかなか見つからないのだろう.






04-04.jpg
屋根裏への入り口.はしごを登って入る.昔はここにワラや茅葺き用の茅,農作業の道具を保管していた.












04-05.jpg
台所.今でもこのかまどで煮炊きしているそうです.すすけた感じが時代を感じさせます.これで炊いたご飯はとても美味しいんでしょうね.











04-03.jpg
離れにあるお風呂の裏側.マキで涌かします.風呂釜はもちろん五右衛門風呂でした.

中村晃規 (2005年9月26日 16:30) | コメント(2)

四大学間交流会 in 「京女の森」 (1)〜活動報告会〜

9月18日〜19日に京都女子大学でおこなわれた「四大学間交流会」に参加しました.
この交流会は大学が持つ里山を活用する4つの大学(金沢大学,龍谷大学,京都女子大学,九州大学)が定期的にお互いの大学を訪問し,学生の交流や情報の交換をおこなうものです.
今回は,京都女子大学から5名,龍谷大学から6名,九州大学から2名,神戸大学から1名,金沢大学から5名が参加しました.金沢大学の参加者には,里山メイトが2名含まれています.

18日午後からは京都女子大学で各大学の活動報告.その後移動し,左京区尾越にある「京女の森」で「観月会」をおこないました.

happyou.jpg

報告会での発表の様子.写真は九州大学生田君









〜各大学の活動報告〜
(1) 九州大学 発表者:生田
九州大学は,金沢大学と同様,福岡中心部から1時間ほど離れた郊外「元岡地区」に移転します.この新キャンパス内では,いくつかの市民団体が自然環境保全のための活動をしています.発表者の生田君は,それらの市民団体の一つ,「福岡グリーンヘルパーの会(FGH)」で活動しており,現在のキャンパス内での活動実績について解説しました.

元岡地区でのFGHの活動は,(1) 竹林伐採と(2) のり面の植樹の二つに大きく分けられるそうです.これは新キャンパス内で竹林の拡大とのり面工事による森林面積の減少が大きな問題になっているためでしょう.この点は,金沢大学角間キャンパスでも同じ事が言えます.竹林伐採では,これまでにのべ998名が参加し,合計11,298本の竹を伐採したそうです.一人あたり10本程度を伐採したことになります.参加者数の割には,伐採本数が少ない気もしますが,こつこつと40回も定期的に活動している点は,私たちも見習うべきでしょう.まさに継続は力なりです.
またのり面への植樹は,金沢大学でもこれから取り組むべき問題です.出来れば生田君がFGHで身につけた技術(苗の育成,のり面への植樹方法,植樹後の管理方法など)を私たちに教えて欲しいものです.

生田君はさらにこれまでのアンケートや参加者リストのデーターから,「会員の中には実際の野外活動に参加できるメンバーと,出来ないメンバーがいる.これまでは,作業に参加できるメンバーを重視してきたきらいがある.しかし参加出来ないメンバーも経済的に会を支えているし,保全に対する意識は高い.このような形でのボランティア参加も積極的に受け入れていくことが会にとっては重要である」という内容の発表をしました.

確かにそのとおりです.さらに私としては野外での除伐活動などに参加出来ないメンバーには,他の形で貢献できる場を設定することも必要ではと考えます.会員に向けて,野外活動以外の企画を募集する,自分がリーダーとなって新しい企画をたてるなどやれることはたくさんありそうです.

(2) 金沢大学 発表者:中村
金沢大学からは私が発表しました.自然学校の活動については,昨年の交流会でも発表しているため,今回は「今年のニュースとこれからの展開」と題し,(1) 活動の拠点となる「角間の里」が完成したこととそれに伴う周辺状況の変化と(2) 自然学校の今後の展開,特に大学内だけでなく,石川県全域での活動(駐村研究員制度など)を目指していることを解説しました.
さらに今年はホームページの充実に力を入れていることを紹介し,「四大学間交流会の広場」としてのブログ設置の協力を呼びかけました.この発表後,高桑先生の薦めもあり,近日中にブログを立ち上げ,意見交換の場として利用することが決まりました.

(3) 龍谷大学 発表者:杉尾
龍谷大学には学生による里山サークル「きのっこ」があります.今回参加した他の大学には同様の団体はなく,この点が龍谷大学の特徴と言えます.今回はこのサークルの一員,杉尾君が,現在おこなわれている生物多様性調査を中心に,龍谷の森の現状と課題について解説をしました.
彼によれば,これまでの調査で龍谷の森は樹木植生をはじめ生物相が単調であることがわかってきたようです.確認できた植物が約120種(角間の里山では,576種)ということですから,かなり少ないと言えるでしょう.
これは(1) 土壌が砂礫層で水を保持することで出来ず,森が乾燥しがちであること,(2) 数十年にわたり手入れがされていないことが原因だと分析しています.
こうした結果をうけ,龍谷大学は大規模な操作実験をおこなうようです.それは(1) 人工の水場(井戸を掘り,ため池,湿地)をつくる,(2) 間伐,落ち葉かきなど,山の手入れを復活させるの2点です.このような操作をおこなった後,生物相がどのように変化するのか,モニタリングを続けるそうです.なかなか面白い実験になりそうですし,今から結果が楽しみです.

龍谷大学の取り組みについて,うまくまとめ,わかりやすい発表でした.ただ残念なのは,学生サークル「きのっこ」がこうした活動にどのように関わっているのか,そしてサークル独自の活動として何をしているのかが見えてこなかったことです.私もこの点を彼らに聞きそびれてしまいました.サークルの無い金沢大学としては,一番聞いておかなければいけないことだったのですが...これは次回,彼らに会った時の宿題にしておきます.

(4) 京都女子大学 発表者:坂岸
今年の夏,京女の森でおこなわれた「親子自然体験学習会(NPO地球環境大学主催)」(2泊3日)の様子を発表してくれました.この企画には,発表者の坂岸さんをはじめ,京都女子大学の学生3名がスタッフとして参加したそうです.
その活動内容をすべてあげると
・シャーマントラップによるノネズミ捕獲
・もんどりによる魚類調査
・ネイチャークラフト(バードコール,セミぶんぶん)
・京女の森散策
・ネイチャーゲーム
・荒谷の散策
・森のキノコのスライドショー
・剥製を使った動物観察
・シカの糞採集と分析(何をたべているかな?)
・森林インストラクターによる樹木のお話し
・森の絵を描こう!
盛りだくさんな企画ですね.これだけいろんな事が体験できる企画は,なかなかなさそうです.京女の森は,京都市内から車で1時間ほど離れた奥山にあります.深い山の中で,周りには民家もありません.このように,ある意味隔離された環境であるため,自然に触れることだけに集中し,これだけのプログラムができたのではないでしょうか?

坂岸さんは,このプログラムにスタッフとして参加することで自分自身も自然に触れ,新しい気づきがあったと発言していました.京都女子大学には,小学校や幼稚園の教員を目指している学生がたくさんいます.私としては,彼女たちに今回のような企画にどんどん参加し,感性を磨いて欲しいと思っています.

残念なのは,これだけ充実した企画なのに子どもの参加が4名と少なかったことです.魅力的なプログラムです.開催時期や広報の仕方を改善すれば,もっとたくさんの参加者が来るでしょう.期待しています(もっとも多すぎてもケアできなくなりますが...).


timakizasa.jpg

←京女の森に向かう途中の民家では,軒先でチマキザサを干していました.これはお茶として飲むそうです.画面が曇っているのは,台所から出ているマキの煙のせいです.

中村晃規 (2005年9月21日 12:24) | コメント(3)