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むしとりあみ通信

氏名:中村晃規
専門:生態学
里山の動植物の話題,自然学校の日々の活動で感じたことなどを伝えます

調査・研究

第五回竹林景観ネットワーク研究集会~2日目

昨日にひきつづき,竹林景観ネットワーク研究集会に参加しました.
2日目はエクスカーション.高松市郊外の自然植生の観察,NPO,香川大学の竹林調査地の視察でした.

まず訪れたのは藤尾山自然環境保護地域と藤尾神社.

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ここは山自体がご神体となっていて,そのためこの地域の自然植生が残されています.
ですので,展望台から見ると,周りの山々は常緑広葉樹に覆われた景色.

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てらてらと輝く緑の中,所々にまだ落葉していない,赤や黄色に紅葉した落葉広葉樹が見えました.
香川県に出発する少し前に雪が降った金沢では,木々の葉はすっかり落ちて見渡す限り白と黒の世界だったのに...冬でも暖かくさしている日差しの中,山の様相の違いをたっぷり堪能しました.

続いて,藤尾山に隣接する「ドングリランド」へ.

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このドングリランドでは,「どんぐり貯金」で有名な「NPO法人どんぐりネットワーク」の方達が活動しています.
ネットワークが指定管理者となっているビジターセンターでは,約1万個の松ぼっくりで作った大きな松ぼっくりアート「ト○ロ」が出迎えてくれました.

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センター内ではネットワークの松野さんから活動についてお話ししていただきました.
「保全」「森遊び」「食べる」をテーマに様々な主体が多様な体験活動をおこなっている様子がよくわかりました.
例えば「ツリークライミング」「森の幼稚園(地元の幼稚園,保育園と一緒に)」「里山キャンプ(大学生の協力)」.これらの行事を月1回のペースでおこなっているほか,毎週火曜日には竹林整備ボランティアの皆さんが保全活動に励んでいます.

このネットワークの取り組みの様子,組織の作り方などは,今後の角間の里山メイトの方向性を考える上でとてもヒントになりました.

この日も「森で育児をしよう!」と集まり,定期的な活動を続けている親子グループが薪とかまどで料理をしていました.

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作っているのは「だんご汁」.子ども達が作ってくれたこのお汁を,私たちも頂きました.
ごちそうさまでした.

昼食後はドングリランド内の竹林で「竹林の健康診断」の講習会をおこなったり,香川大学の調査試験地を見学しました.
途中では竹林内に建てられた観測タワーにも登ることができ,大満足なエクスカーションでした.

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中村晃規 (2009年12月27日 14:02) | コメント(0)

第五回竹林景観ネットワーク研究集会

香川県高松市香川大学でおこなわれた,第五回竹林景観ネットワーク研究集会に参加しています.
今日は一日目,研究発表会でした.
急病のため,1演者の発表が取り消しになりましたが,4つの発表があり,活発な意見交換がおこなわれました.

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今回の発表は,卒論生,院生の発表のみ.学生・院生らしく新しい視点で切り込んだ初々しい発表ばかりでした.

懇親会はさすが香川県.讃岐うどんの料亭.本場のうどんを堪能しました.

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帰りの電車「琴電」では,金沢大学の坂本先生から工学部系の視点で見た竹研究について聞くことができました.
竹の地下茎が成長し,拡大する様子や,竹林が成長し,密度が高くなる様子についてのシュミレーションに是非取り組んで欲しいと感じました.

明日は高松市周辺の森林や竹林保全,研究の現場を見学するエクスカーションです.

中村晃規 (2009年12月26日 21:02) | コメント(0)

竹林景観ネットワーク研究集会

6月21日,22日に滋賀県近江八幡市でおこなわれた竹林景観ネットワーク研究集会 に参加してきました.
この研究会は,竹林景観に関心を持つさまざまな分野の研究者・実践者の交流を目的に,昨年12月にスタートした会です.
角間の里山自然学校でも昨年度,竹の利用に関するワークショップを2度開催しました.里山を保全する上で,モウソウチク問題は避けて通れません.

研究会は,若手の研究者に発表の場を提供するという目的もあります.今回の発表の演題を紹介すると,

・ヒノキ人工林へのモウソウチクの侵入に伴う土壌理化学性の変化
・香川県における竹林の拡大と里山の生物多様性・生態系機能に対する影響(1)
・拡大特性に基づく竹林管理計画の景観生態学的検討
・竹・間伐材を利用した道路環境美化運動の実験的取り組み〜大阪府大東市における市民活動活性化事業「チクリンチック 2006 プロジェクト」を通じて〜
・竹林整備による里山の便益評価〜広島県東広島市鏡山における事例分析〜

と森林生態学から環境デザイン,環境経済まで多分野にわたっています.
こうした話題をまとめて聞く機会はなかなかありません.どの発表も新鮮で,ドキドキさせるものでした.

私自身もこのネットワークに加わり,竹に関しての情報の交換,共有,今後の活動の相互支援などしていくつもりです.とりあえず,金沢で研究会を開催してくれると嬉しいなぁ...なんて思っています.

中村晃規 (2008年6月22日 16:33) | コメント(0)

竹ペレット燃焼データとり

北陸バイオマス発見活用協議会による週末のイベントに向け,メンバーのみなさんが竹ペレットを使ってペレットストーブの試運転をしました.

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こちらがそのストーブ.件の炭ストーブと同じ会社 (明和工業) が製造したもので,外観はよく似ています.
自動燃焼装置やペレット供給装置がついているのでこんなメカメカしたスイッチがあるところが炭ストーブとは違うところ.

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そしてこちらが竹をつかったペレットです.

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燃やすとそこはかとなく竹の匂いがする気がします.
今日は試運転なので約1時間の燃焼.約750gのペレットを消費したとのことです.
コストパフォーマンスやカロリー量については,彼らの結果発表を待ちたいと思います.

ところでこちらは同じイベントで使う「ペレットクッカー」

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ひょろりと伸びた煙突の形状からその名も「キリンくん」.煙突と逆側の短い筒にペレットを入れ燃焼させます.エントツ効果によりその炎は煙突方向に引かれ,ちょうどキリンの背中に当たる部分が熱せられ,そこで調理ができるというもの.約250℃まで温度があがったということなので,料理するには充分です.

コンパクトで可愛らしく,使い勝手も良さそう.私も欲しくなりました.もしペレットだけでなく乾燥した竹チップや小枝が燃料になるなら,今後の活動で使えそうです.

今回はこのクッカーで「人形焼きホットケーキ」をつくります.

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なかなかおいしくできました.

中村晃規 (2007年12月20日 15:08) | コメント(0)

能登半島地震

3月26日,前日に起きた能登半島地震の被災地を地域連携コーディネーターの宇野文夫さんと訪ねた.
主な目的は,今後の学生ボランティア派遣について,現地の災害ボランティアコーディネーターとの打ち合わせ,そして被害状況を把握するためです.以下現地の状況を写真を中心に報告します.

・能登へ
能登有料道路は柳田インターから先が通行止め.柳田インターで降り,海岸沿いを走った.途中自衛隊車両や消防車(滋賀県,福井県など他県からの車両)を多く目にした.道路には所々で亀裂が入り,崩落や崖崩れのための通行止めも数カ所.液状化現象のためだろうか,門前に近い地域では,ほとんどのマンホールが浮き上がっていた.門前に近づくにつれ,アスファルトのうねりが強くなった.

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・門前町黒島地区
江戸時代中期から明治期にかけて,北前船で栄えた歴史を物語る船問屋の蔵や板壁の住宅が立ち並ぶ黒島地区.その趣のある建造物の多くが倒れていた.

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・門前町道下(とうげ)地区
今回の地震でもっとも住宅の被害が多かった地区.私たちが到着する直前にも,一軒の家が倒れたとのこと.マスコミ多数.

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・門前町総持寺周辺
明治の大火まで曹洞宗の総本山だった総持寺.その山門脇の灯籠や手水の屋根などが倒れていた.本堂などの建物は,外から見る限り大きな被害はないようだった.周辺の住宅は,黒島地区,道下地区と同様,大きな被害をうけていた.

旧門前町役場にはボランティアセンターや救護センターがおかれている.

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・輪島市中心部
暗くなってから輪島市街に入った.そのためどれだけの被害が出たのか,よくわからなかった.倒壊した家屋があるものの,門前にくらべると被害は少ないようだった.途中,崩れた製材所前で,金沢大学村田先生が北陸朝日放送のインタビューに答えていた.前日から現地に入り,被害の状況を学生とともに調査したとのことである.

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駆け足で被災地を見て回りましたが,テレビ,新聞などで報道されている以上に,被害が大きいのだと感じました.
全半壊や一部損壊した家屋は786棟と報告(総務省消防庁)がありましたが,数字になってしまうとその被害の大きさは薄れてしまうような気がします.土煙のにおいがし,割れたガラスをパキパキと踏みながら歩かなくてはいけない現場に入り痛感しました.

現在のところ,ボランティアの受け入れ方法など正式には決まってないようです.交通や駐車スペースの問題もあり,金沢からボランティア専用のシャトルバスを運行し,受け入れる方向で段取りをすすめています.
自然学校では,現地の受け入れ体制が固まり次第,学生ボランティア団体などに活動参加の呼びかけを始めていきます.

中村晃規 (2007年3月27日 10:28) | コメント(0)

自然散策路のルート設営に向けて〜珠洲市小泊〜

10月にスタートした「能登里山里海自然学校」.拠点としている珠洲市小泊小学校周辺に,自然散策路を設定するための調査が始まっています.
駐在している赤石君からの依頼で,私も周辺の森やため池,海を視察してきました.

地元の方が2名同行してくださり,場所の案内だけでなくこの地域の森や田んぼの昔の様子,手入れの仕方なども聞くことが出来ました.

大体2時間ほどで歩けるルートの中に,植林地,マツ林,雑木林,ため池,畑,棚田,そして磯が入っており,コンパクトにまとまったルートが設定できそうです.
今は人の手が入らず,中低木が茂った雑木林やマツ林についても,地元の皆さんが非常に協力的で,伐採や下草刈りなどの保全活動も春からスタートするとのこと.人と里山,里海との関わり合いが見える,そんな散策路が浮かび上がってきます.

今回立ち寄った中で私が感動したのがこちら.


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見渡す限りにシイタケのホダ木が並んでいました.栽培している方にいただいたシイタケは,早速網焼きにしていただきました.ごちそうさまです.



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小泊の海を眺めながら,物思いにふける赤石君(写真2枚目).彼の頭の中では,能登里山里海自然学校,小泊,そして奥能登の未来が渦巻いているに違いありません.

ところでこちらは能登里山里海自然学校の事務所で見つけた「カブトムシ飼育マット」(写真3枚目).なんと竹でできています.


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角間キャンパスの竹林には,切ったり倒れたりした竹が,腐りかけたままたくさん放置されています.
こんなたい肥になるのなら,竹林から引っ張り出して,チップにするのも良いかもしれないですね.

中村晃規 (2006年12月15日 17:05) | コメント(2)

昆虫をスキャンする

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まずは写真を見て欲しい.角間でとれたスジクワガタですが,その背面の点刻,足先,触覚まで鮮明に再現されています(クリックすると少しだけ大きくなります).
実はこの写真,高価な機材を使ったわけではなく,事務所にある家庭用カラースキャナで標本をそのままスキャンしただけなのです.
ネタ本はこちら→「養老孟司のデジタル昆虫図鑑」
本屋で見つけ,「これは使える!」と即購入.ものはためしと手元にあった標本を取り込んでみました.
やってみての感想は,簡単!早い!
難しい設定はいらないし,対象の昆虫も小さいので解像度を高くしても時間がかからない.
カメラでライティングに苦労しながら撮ることに比べると,とてもとてもお手軽です.

これならば子ども達にも出来そうです.この夏のプログラムでは,この方法で「里山デジタル昆虫図鑑」を作ってもらおうかなと計画中です.

中村晃規 (2006年7月11日 09:18) | コメント(3)

里山回廊案内

自然系の学生サークルの部長さんが角間の里を訪ねてきました.
「このマップに載っている里山回廊を歩きたい」と.

「それじゃあ,〜から山に入って,〜(道しるべなど)に従って歩いてください.山道ですが,迷うことなく歩けますよ!!」

とは言えないのが現状.金沢大学側から入る道はどれも荒れていて,どこが道なのかよくわからない状態です...

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例えばこれ.倒れた木と茂ったササのため道が見えません.












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竹藪は竹が枯れ放題,倒れ放題.どこから手をつけて良いかもわかりません.

というわけでガイドとして同行.ついでに先日入らなかった「北陸仏教道」も歩いてみました.

金沢大学エリアから卯辰山エリアに向かう三叉路を仏教道方面へ.
先にも書きましたが,この道は北陸電力の鉄塔点検のために使われているらしく,きれいに手入れされています.

金沢大学キャンパスを一望できる場所があったり,かなりの樹齢の木があったり,変化に富んでいて飽きることなく歩けました.

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木々の間から大学の駐車場が見えるのも御愛嬌.














歩き続けて体が火照ったころに,小さな沢が現れました.沢を登る冷たい風が心地よく体をなでていきます.

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沢は滑りやすかったのですが岩肌に階段が切ってあり,問題なく歩けました.
この階段はいったいいつ頃からあるのでしょうかねぇ?もしかして仏教道として使われていた頃からでしょうか?それならば歴史巡りとしても楽しい道です.

2時間ほどの行程を楽しんだのですが,最後はどこを間違ったか建設会社の私有地にでてしまいました.
私有地を抜けるようではよろしくありません.これまでの聞き取りでは,仏教道はもう少し先まで続いているはず.わかりにくい道なのでしょう.私たちには見つけられませんでした.

次回は私有地を通らずとも抜けられる道を探します.

中村晃規 (2006年4月27日 15:33) | コメント(0)

里山歴史散歩 〜里山回廊下調べ〜

先月28日に続き,里山回廊の整備に向けた下調べ.
今日は金沢大学周辺の古道を歩きました.
これは里山散策のルートを設定する際,歴史的に意味のある地点を通し,「里山+歴史散歩」のコースを作るための下調べです.

今回のメインメニューは二つ.
(1) 石切場から切りだした戸室石を金沢城まで運んだ「石引往来」
(2) 北陸仏教道脇にある「蓮如の力水」
でした.

まずは金沢大学構内を抜け石引往来へ向かいます.

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これはその途中にある八幡神社の境内にあったほこら.穴を覗くと,中にはお地蔵さんが.なにやらいわれがありそうな雰囲気.むむむ...これは追加調査が必要ですね.












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道脇にあった立木を利用した「はざ」.神社のある中山町から石引往来へ向かう途中にありました.
こうした「小道具」が里山的雰囲気を盛り上げてくれます.







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石引往来の所々には今でも戸室石が点在しており,場所によっては写真のように山積みに放置されています.同行したMさんによれば周辺の田んぼを整備する際に出てきたのではとのこと.
なるほど,よく見ると田んぼの石垣にもたくさん使われていました.







またこのあたりの田んぼでは,毎年ホタルがたくさん発生します.夜に山道を歩くのは難しいですが,ガイドのネタとしてはGoodでしょう.

さて,石引往来から角間方面に抜け,北陸仏教道へ.

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そこにある小さなでも水量豊かな池が「蓮如の力水」.
「本願寺中興の祖」と呼ばれる蓮如上人は,北陸地方でも精力的に布教活動をおこないました.
もともと白山信仰のあったこの地では,布教の旅は厳しかったとも聞かれます.

その蓮如上人が加賀から越中に向かう時に使ったのが,この「北陸仏教道」だといわれています.
尾根付近にありながら,不思議と多くの水を蓄えているこの泉.蓮如だけでなく,この道を通った人々の喉を潤した事でしょう.今は周囲の田んぼに絶え間なく水を供給しています.

今回の踏査で,大学キャンパスと里山的景観,そして歴史的地点を含む小さな周回ルート(約2時間半)が見えてきました.
里山回廊整備に向け,今後も調査は続きます.

中村晃規 (2006年4月18日 19:33) | コメント(0)

写真発掘プロジェクト(2)〜下角間町の変化〜

今回,田上町に住む里山メイトさんから提供された写真を紹介します.
この方は偶然にも,昭和47年から平成2年まで,数年の間隔で同じ場所から下角間町をカメラにおさめていました.
並べてみると,大学の移転に伴う町の変化,山の変化がよくわかります.
写真はクリックすると大きくなります.


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昭和47年.奥に見える集落が下角間町です.田んぼには大きな「はざ」があるのがわかります.はざの中に一カ所白い四角が見えますが,これは風抜きの窓.これだけ大きなはざになると,窓がないと倒れてしまうそうです.


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同じく昭和47年.カラー写真です.こちらにははざが無く,集落の家がよく見えます.


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昭和61年.金沢大学移転のための造成工事が始まっています.背景の山の斜面が削りとられて土が見えています.


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平成2年.大学の施設(エネルギーセンター,中央図書館など)が建ち,下角間の町はなくなりました.手前にみえていた棚田も耕作されておらず,荒れています.




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最後に平成17年(現在)の写真(これだけは私が撮影しました).
手前,右にある建物は「環境保全センター」.左の竹やぶが拡がっています.その下は学生用の駐車場.町があった場所には,鎮守の森だけが残っています.


中村晃規 (2005年12月27日 17:41) | コメント(2)

写真発掘プロジェクト(1)〜昭和21年航空写真〜

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シンポジウムなどなど終わったところで,そろそろ集めた写真を紹介していきます.
まず最初は田上小学校で見つけた航空写真.角間周辺,昭和21年の写真です.
田んぼが広く拡がり,山の谷には全て棚田が作られている様子がわかります.
写真右上角に見える集落が「上角間」.その左やや下に見える集落が「下角間」です(それぞれ「奥角間」,「口角間」とも呼ばれていました).

次回からはこの航空写真に写っている地域の昭和20年代,30年代の写真を紹介していきます.

中村晃規 (2005年12月21日 18:45) | コメント(2)

おばあちゃん昔語り〜聞き取りメモ〜

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午後から田上町のおばあちゃんに,昔の暮らしについて2回目の聞き取りをしました.
聞いたことを忘れないよう,ここにちょっとメモしておきます.里山とは関係ないことも書きますが,気にしないでください.

・田上の炭焼き:ミナミダンだけ.田上に住む4人の方がやっていた.時期はおばあちゃんが結婚した頃(昭和のはじめか?).キタダンでは炭焼きはしていない.
・養蚕:数戸がやっていた.子どものころから戦前まで.戦後はやっていない.
・ニンブ:下田上の住人の協同作業.田植え,稲刈りや水路の掃除など.
・アルキ:村の行事を村内にふれて回る仕事.
・ホエ(ホイ):「細い枝」の意.毎年秋に里山の森に入り,枝を拾った.自分の家の焚きつけにするだけでなく,売った.
・バギ:「割り木」の意.
・角間:里山から薪をとって町に売った.炭焼きはしていない.俵の人たちは,角間の山に生える木を買い,伐採し,持ち帰って炭焼きをした.「今年はこの範囲」という買い方→角間の里山利用を知るためには,俵の人からも聞き取りをする必要がありそう.
・田上の里山利用:秋にはホエとり.春先に下草刈りと落ち葉かき.おばあちゃん曰く「秋には落ち葉がないからや」.秋が短く,冬が早いため?1年間の山仕事スケジュールを他の方からも聞き取る必要アリ.
・イズミ:集めた落ち葉を担いで山からおろすための道具.畳一畳くらいの大きな手提げカバンのような形.ワラで作った.落ち葉を一杯に入れると重くて大変.
・田上の「百枚田」:イッチョウジの近くに広い棚田があった.千枚田ではなく「百枚田」.
・1976年ごろにプロパンの使用が始まった.そのころまでは薪を使っていた.
・ホエ,薪,野菜,ワラなどは小立野方面に売りに行った.

今,覚えていることのメモです.後はボイスレコーダの録音を聞きながら,情報を拾います.

中村晃規 (2005年11月29日 19:10) | コメント(3)

古い写真 〜田上小学校訪問〜

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先日のブログで書いた「角間周辺の古い写真集めプロジェクト」は,少しずつ,ちゃくちゃくと枚数が集まっています.
田上公民館からは,全部で21枚のモノクロ写真に加えて,1984年から87年にかけて角間の造成地を撮影したスライド,約250枚をお借りできました.また,里山メイトの方から,昭和39年の角間の写真2枚をお借りしています.
今日は田上小学校に保存してある卒業アルバムを見せていただきました.昭和初期から現在まで,モノクロとカラーの入り交じった写真は見ているだけで時間が過ぎ,田上小学校の移り変わりがよくわかる物でした.残念ながらほとんどが学校の行事の様子や遠足などでの記念写真でしたが,中には学校近くの風景が写り込んでいる写真もあり,それらはスキャンして取り込むことにしました.
こうしたアルバム以外に,先生が資料室から出してくださったのが航空写真のパネル.昭和21年,昭和52年,平成元年,平成3年,そして平成15年のパネルがありました.
このうち,昭和21年と平成15年とを比べると,角間周辺の地区がここ60年ほどの間にどれだけ開発されたか,よくわかります.この2枚のパネルはお借りして,しばらくの間記念館に展示することにしました.
さて,アルバムをめくっていると面白い物を見つけました.それは昭和59年の読売新聞の切り抜き.「大学がやってくる(10)」という記事.当時角間町から田上小学校に通う男の子のお話しです.引用して紹介します.

ー裏山が遊び相手だいー
近頃は珍しくなったが,どこの学校にもわんぱく少年がいる.「けんかが強いという意味ではない.”自然児”が一番ぴったりな表現か.***(名前.ここでは伏せます)君は,間違いなくその一人だろう.金大移転で”消滅”する金沢市角間町から田上小学校に通う.いま六年生.
***君の自慢は「山の探検」だ.学校から帰っても,家でじっとすることはまずない.一目散に周りの山へ走る.
トンボとり,木登り,ツルにぶら下がって”ターザン”ごっこ.わずか十八戸の角間町には,***君を含め,小学生は三人しかいない.山が遊び相手なのは,友達がいないせいもあるが,「アケビの実がなっているいる場所,たくさんしっとるぞ」などと級友に話す***君の目は得意気だ.
ー角間の子は学校の宝ー
田上小は,金沢のドーナッツ化現象で年々児童の数が増えている.都会っこにとって,***君の話はやっぱり新鮮に映る.「角間の子がいてくれるのは,学校にとっても貴重なんですよ」と,校長の***さんはいう.
昨年一月,こんな事があった.角間からの通学路になっている山道が雪で不通になった.道幅が二メートルしかないので,除雪車が入れない.***君らは仕方なく,三倍近い,三キロも回り道をして学校へ通った.
その時,***さんはイキな遠足を計画した.五十センチの雪に埋まった山道を”遠足”で踏み固め,通れるようにしようというわけだ.
=中略=
・・・こんな楽しい行事が出来るのもあと何回になるか.角間の町は早ければ三年後には姿を消して新キャンパスの敷地になる.
ー開発の裏に光と影がー
「寂しくなるね」と***君はいう.
=中略=
金沢郊外ののどかな山間は,間もなくブルドーザーのごう音に包まれる.(おわり)

なかなか面白い記事です.当時の角間町の子どもがどんな生活をしていたか,断片が見えてきます.この記事は「大学がやってくる」シリーズの第10回目.他はどのような記事だったのか,興味がわいてきました.昔の新聞は,図書館に行けば閲覧できるはずです.なんとか全部をあつめ,記念館に残したいと考えています.

中村晃規 (2005年11月28日 19:35) | コメント(1)

おばあちゃんの昔語り

里山メイトの亀田さんの協力で,田上町に住むおばあちゃん二人に田上町の昔のくらしについてお話しを聞きました.
これは来月に企画している「おばあちゃんの昔語り 〜角間の昔を聞く会〜」の準備のため.おばあちゃんがどんな話が出来るのか,またどんな話が得意なのかを知るためです.また,角間キャンパス内の里山がどのように利用されていたか,地元の方から聞き取り,記録をとるといった意味もあります.
おばあちゃんは楽しそうに,懐かしそうに,次のような話をしてくださいました.

・耕作用の馬の借り入れについて
・下肥を小立野にもらいに行ったこと
・ワラを担いで町に売りに行ったこと
・その帰りに町で魚を買ったこと(魚は高くて,ワラを売ったお金では,充分な数買えなかった)
・子どものお手伝い(薪拾い,畑仕事,蚕の世話など)
・ミナミダンの炭焼き
・虫の針(これはマムシの牙のこと)で腫れた時の治し方:おまじないとカミソリで毒気を抜く(?)
・夏休みに高校生が先生になり,小学生の宿題を見ていたこと
・キタダン,ミナミダンの山は手入れが行きとどき,とてもきれいだったこと
・下田上と上田上の方言の違い
・おばあちゃんが子どもの頃,田上で養蚕をしていたこと
・コウゾを栽培して,紙をつくっていたこと
・「つぶら」の使い方
などなど

こんなお話しを,昔ながらの方言で,ゆっくりと,ニコニコしながら,ユーモアたっぷりに聞かせてくださいました.
12月10日の会までに,あと2回ほどお会いして話を聞く予定です.面白いお話しがあったら,ここでも紹介しますね.

中村晃規 (2005年11月25日 17:05) | コメント(0)

古い写真〜続報〜

「古い写真を集めようプロジェクト(仮)」の進捗状況を.
11月6日の読売新聞に記事が載り,それをごらんになった田上小学校の先生から連絡がありました.
田上小学校にある卒業アルバム(かなり昔のものが保存されている)を閲覧させてくれるそうです.
近いうちに都合をつけ,ゆっくりと見てこようと思います.
この動きに合わせ,「田上のお年寄りから昔話を聞く会」も開催できそうです.昔の暮らしの様子や里山のお話し,田上地区に伝わる民話(昔話)をお話ししてくれる方が見つかりました.現在,12月10日に会をもてるよう,準備中です.

進展がありましたら,このブログに書き込んでいきますのでお楽しみに.

中村晃規 (2005年11月11日 15:56) | コメント(0)

古い写真

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地域に埋もれている古い写真を発掘し,角間周辺の昔の様子や里山の使われ方,人々の暮らしをひもとく調査がはじまりまました.手始めに今日は地元の公民館に出かけ,公民館が所有する古い写真を見せていただきました=写真=.
村祭りの様子や小学校の運動会,学芸会の写真,卒業式の記念写真などに混ざり,田んぼとはざの様子を写した写真や馬を使った耕起作業の様子,里山の写真が数枚ありました.第一回目の調査としては,なかなか良い出だしではないでしょうか.
残念ながら今日対応してくれた職員ではいつ頃の写真なのか詳細はわからないとのこと.後日,館長さんに詳細をお聞きする予定です.
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中村晃規 (2005年11月 1日 18:21) | コメント(4)

「里山の水辺環境を守るための協働」シンポジウム

石川県珠洲市でおこなわれた,「里山の水辺環境を守るための協働」シンポジウムに参加,お手伝いをしてきました.
このシンポは,東京大学と金沢大学の両校の21世紀COEプログラムが主催し,開かれたものです.
角間の里山自然学校も,共催の形で参加.スタッフ全員で珠洲市にいきました.

珠洲市では,里山における伝統的な農業とともに,国内でも有数の水辺の豊かな生物多様性が維持されてきました.また,ため池には,絶滅危惧種を始めとした希少な動植物が生息しています.
しかしながら,他地域の里山生態系と同様,農業の担い手不足やため池の管理不足,外来種の侵入などのため,この地域の生物多様性も危機的状況にあります.

今回のシンポジウムは,珠洲地域の市民や農家の方達に里山のため池の自然・歴史的価値を再発見してもらい,将来的に研究者と市民との協働による保全活動をおこなう目的でおこなわれました.

それぞれの講演の演題と私が読み取ったキーワードを書きます(内容をもう少し咀嚼してから,私の感想も付け足しますね).


(1) 講演
演題:「農業生態系の生物多様性と自然再生」・鷲谷いづみ
キーワード:秋津州豊芦原瑞穂の国,生物多様性,普通の営み,伝統的農業生態系,環境モザイク,ホットスポット

演題:「石川県の里山生態系:管理による生物多様性保全」・中村浩二
キーワード:中山間地問題,具体的活動,地域社会活性化,里山の奥山化,管理不足

演題:「地域の暮らしと生活の(再生)としての(自然再生)に向けてー生物多様性保全を社会システムから位置づける」・鬼頭秀一
キーワード:遊び仕事,文化の多様性,社会システムの保全・再生

(2) 特別報告
演題:「ほ場整備における環境配慮」・家元雅夫
キーワード:ほ場整備,環境配慮手法,環境教育,地元農家との協力

演題:「珠洲市の自然と水辺の生物」・富沢章
キーワード:ため池,水生生物,絶滅危惧種,貴重な動植物,珠洲の自然の特徴

演題:「協働による珠洲市の生物多様性の保全:ため池の水抜きによる外来種駆除」・西原昇吾
キーワード:ため池の水管理,侵略的外来種,協働作業,保全活動

演題:「珠洲市の学校教育とビオトープ」・加藤秀夫
キーワード:環境教育,学校ビオトープ,身近な自然の危機,地域連携

演題:「珠洲市の希少生物を守る事業について」・美馬秀夫
キーワード:ふるさと環境条例,環境総合計画,県指定希少野生動植物種,外来種対策

このシンポジウムの講演や特別報告の詳細については,自然学校のホームページ上で,パワーポイントと音声データを使って紹介する予定です.これは先日公開した「ブログページ」の機能と,金沢大学のe-ラーニングのノウハウを統合し,情報を発信する,新しい試みになります.乞うご期待といったところでしょうか.
皆様にはしばらくお待ちいただきたいと思います.

中村晃規 (2005年9月 3日 15:38) | コメント(0)