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むしとりあみ通信

氏名:中村晃規
専門:生態学
里山の動植物の話題,自然学校の日々の活動で感じたことなどを伝えます

2005年10月

番外編:文化の伝承

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今日は金沢の話題から離れた番外編です.
さてこの写真,何をしているところかわかるでしょうか?
これは先週末,弟の結婚式披露宴に出席した時の一コマです.そしてこの写真は,弟の友人達による「伊勢木遣り」の実演.木をかんなで薄く削り取った采(ざい)を振りながら,勇壮な木遣り唄を披露してくれました.

私の故郷伊勢では、20年に1度の式年造営「御遷宮」が行われ、神領民たちが奉仕しています.それに必要な「御用材」の運搬を「お木曳き」といい,その時に唄われるのがこの木遣り唄です.この唄は「伊勢は津で持つ 津は伊勢で持つ 尾張名古屋は城で持つ」のフレーズで有名な「伊勢音頭」の源流と言われています.

久しぶりに聞く木遣り唄は体にズシンと響き,私は彼らの姿をじっと見つめ,唄に聞き入っていました.

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木遣り唄に続き,伊勢古市の太鼓保存会による演奏がありました.こちらも見事な演奏で,終了後には披露宴の出席者から大拍手でした.
私はその演奏にも感動しましたが,メンバーに若い人たちが多いことにびっくりしました.
想像するに木遣り唄も太鼓も,年長者から若者へと系統的に受け継がれているのでしょう.素晴らしいことです.

振り返って角間の里山.このフィールドにも,代々受け継がれてきた文化があるはずです.残念ながら私たちはまだこうした文化を掘り起こす作業が出来ていません.住民の方の話を聞くと,いろんな理由からそうした調査が出来る時間は限られているようです.
角間の古地名,昔話,山の手入れや農作業の知恵などなど,項目はいくらでもあります.
どなたか一緒にがんばってみませんか?

中村晃規 (2005年10月27日 19:05) | コメント(2)

農作業な日

今日は午前中田上小学校の脱穀がありました.
春に田植えをし,先月末に稲刈り,そのあと充分天日に干し,今日の脱穀です.

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記念館の前に足踏み脱穀機と千歯こきを3台ずつならべ,児童約100名が総掛かり=写真=.
わいわいとにぎやかな声がひびいていました.
今日の脱穀では,嬉しいサプライズが一つありました.それは,里山メイトさんが連れてきてくれた講師のおばあちゃんお二人.それぞれ85才と90才のご高齢!!実際に若い頃つかっていた脱穀機を見て,「なつかしい〜」と嬉しそうでした.

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おばあちゃんたちは優しく,子ども達に脱穀機の使い方を教えてくれました.
記念館をバックに,懐かしい農村の風景が(少し)よみがえったような錯覚を感じ,とても嬉しい私でした.

おばあちゃんに教わったこと,(1)回転脱穀機は,「ミノル式」が一番であること,(2) 千歯こきは,種籾をとるためだけに使ったこと.これは千歯こきがお米をいためないからだそうです.





子ども達が帰った後は籾すりです.こちらは手作業ではなく,機械を使っての作業.

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もちろん籾殻も捨てずにとっておき,畑などで使います.










午後からはメイトさんのお手伝いで苺の苗植え.

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約50株を植えました.3月には赤い実をつけ,子ども達を楽しませてくれることでしょう.

さて,明日はキタダンでとれたお米の脱穀,アワとキビの精白です.なんだかここのところ農作業な日々.作業着を記念館に置いておこうかなと思案中です.

中村晃規 (2005年10月21日 17:20) | コメント(1)

クサギカメムシの物件探し

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2~3日ほど前から,記念館の外壁や網戸にクサギカメムシの姿をみるようになりました=写真=.
このカメムシは,越冬のために集団で家屋に侵入することが知られています.
秋になり,冬の間に暮らす物件を探しに来ているようです.
今年の春,昨年から越冬していたこのカメムシが記念館の中にたくさんいて困りました.

漢字で書くと「臭木亀虫」.その名のとおり,驚くと臭い匂いをだします.外に逃がそうとほうきで掃いたり,箸でつまむと臭くて臭くて...それに注意していないと,床にいる個体を踏んづけたり...

そんな彼らと6ヶ月ぶりの再会.他のスタッフも「お〜久しぶりやな〜」となんだか旧友に出会った気分.この物件を気に入って,越冬したなら,それはそれで嬉しいですね.

春の経験だと,このカメムシ以外に,アシナガバチやハムシの仲間,テントウムシの仲間も記念館で越冬するはずです.

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さてこちらは最近記念館によく来る学生さん.一足お先にお気に入りの物件でお昼寝のところです.
(注:彼は昼寝をしに来てるわけではありません.勉強の合間に仮眠をとっているんです.彼の名誉のため付け足しておきます)

中村晃規 (2005年10月13日 16:18) | コメント(6)

四大学間交流会 in 「京女の森」 (3)〜里山メイトレポート〜

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先月おこなわれた「四大学間交流会」に参加した里山メイトからレポートが届きました.
交流会でどのような活動がおこなわれたか,そしてそれに対する感想をそれぞれの視点から書いてくださっています.
どうぞ,ご一読ください.

「四大学里山交流会に参加して 」
里山メイト 芝 田 敏 勝

平成17年9月18日から19日の1泊2日、京都女子大学において行われた四大学里山交流会に参加しました。
まず、「各地の里山の現状と課題」について報告がありました。最初は九州大学の取り組みを生田篤さんがパワーポイントで発表され、次に私たち金沢大学の中村晃規さんがホームベージを取り込んで写真も豊富に分かりやすく報告しました。これをきっかけに皆さんにぜひ金沢大学里山自然学校のホームベージを閲覧して頂きたいとのお願いを含めての発表でした。その後、龍谷大学の杉尾文明さんの報告がありました。その後、出発時間が迫って来ましたので、「京女の森」(市内左京区大原尾越町)へ行き、京都市営ロッジ「二ノ谷管理舎」で、京都女子大学の取り組み「夏休み親子自然体験」について坂岸由香利さんが発表され活動報告が終了しました。4大学のそれぞれの取り組みに特徴が出ていて、私は興味を持って報告を聴くことができました。
 その後、夕食と交流会。その時、京都女子大学の一回生2人がパンの耳を利用してつくってくれたお菓子がたいへん美味しく、印象に残りました。工夫すればこれだけ価値が生まれるのだと。
 次の日、朝8時30分から京女の森を京都女子大学の高桑先生及び学生の案内で、二ノ谷管理舎から森の中へ歩き始めました。少し歩くと土で囲んだ物があり、それは炭を焼いて居た所と教えて頂いたり、その後、ヒカゲノカズラ、菌類、タムシバ、ミズナラ、コナラなど、そして先生が樹の一部を切って、その樹(クロモジ)の匂いを嗅いだりして色々観察しながら森の中で五感をフルに使いながら散策を楽しむことが出来ました。
 また、樅(モミ)の木やヒノキに目を閉じて触れたりしながら尾根を登りました。そして尾越の女王と呼ばれていた今は枯死した樹齢500年のアカマツと対面し、その枯れ枝の一部をノコギリで切り取りました。自宅に持ち帰り、今は名札にして大切に使っています。
 最後は幹回りが18mもあるアシウスギの前で写真を撮り、京女の森の観察会は終了しました。この京女の森は24haの面積ですが、自然と人工林があり、観察するには最適と思います。市内からここまでは距離で30キロあり、一泊するゆとりで参加するのにはちょうどいいと思います。
 最後になりましたが、この様な企画を立てていただいた京都女子大学生命環境研究会のみなさんに感謝いたします。次回もぜひ参加したいと思います。

「四大学間交流会レポート」
里山メイト 細川悟

私が今回の「四大学交流会」(9月18日、19日)に参加することになり、当初どんな専門の先生や学生が参加するのか理解できず、本音を言うと少々不安がありました。ですがめったにないチャンスだと思い参加させていただきました。まず、京都女子大での活動報告会では各大学の里山活動を聞きました。
九州大学の発表者は,大学の所有する山林におけるボランティアを通じて里山への活動に参加していると報告されました。竹林の整備を通して、里山を管理する難しさやボランティア活動におけるメリット、デメリットについても説明がありましたが、考えさせられたのは、ボランティア活動にも限界があるとの報告でした。同じボランティアでも参加頻度や労力が人それぞれに違いがあり、里山を真正面から管理するという作業に果たしてボランティアという形態はなじむのか、しかし、ボランティアに頼らざるを得ないという現状もあるとの印象を受けました。
次に龍谷大学からは現在の「龍谷の森」の現状と課題について様々な取り組みが紹介されました。ここの特徴は、里山を人為的に管理すること。例として人工の水場による環境の改変や間伐材などの森林の管理、また森林のモニタリングなども積極的におこなって、里山の保全に力を入れているとのことでした。
京都女子大からは夏休みを利用し、「京女の森」において、親子連れを対象とした自然体験学習会を開き、生き物と触れ合う2泊3日の体験プログラム組んだとの報告がありました。ネイチャークラフトや生き物を採るトラップなどを通じ自然と向き合う機会作ることができ、市民参加の意義深いイベントになったとの報告でした。このように各大学(金沢大学の報告は省きます)の個性ある活動報告を聞くことができ、普段金沢の「角間の里山」だけでは分からない里山の問題点や特色を理解することができました。
「京女の森」での交流会。参加したメンバーが食事の準備などを協力して行いました。このような作業をこなしていくうちにメンバー同士の会話も弾み始めて、食事とお酒が入り会話は盛り上がりました。また、この日は仲秋の名月がくっきりと浮かび、趣のある月見が楽しめました。
翌日、京女の森の観察会に参加し、高桑進教授の案内のもと約二時間かけて散策しました。さまざまな樹木やキノコの説明をしていただきました。また、京女の森のシンボル樹である「女王」(赤松)や「大王」(芦生杉)を見て、その大きさと雄雄しさに圧倒されました。
こうして2日にわたった大学間交流会は終わりました。自然と触れ合う喜びや大切を次世代にどう伝えていけばよいのか、里山活動を通じた私たちの課題も見えてきたと思います。高桑先生、皆さんお世話様でした。

中村晃規 (2005年10月 7日 11:50) | コメント(0)