9月5-6日 南イタリア調査地で研究成果を発表

 歴史的には重要な文化財でありながら消滅寸前の状況にある南イタリア各地の中世洞窟壁画群を高精細な三次元データで記録・保存し、未来型デジタルアーカイブの形成を目指しているフレスコ壁画研究センターは、プーリア州グラヴィーナ・イン・プーリア市において、9月5−6日の2日間にわたり、地元関係者や市民に向けて調査研究の成果を発表しました。
 今回の成果報告会は、昨年実施した現地調査に協力を惜しまなかった人々に感謝の意を表するとともに、中世の洞窟壁画保存(記録)の重要性を理解してもらうことを目的としています。両会場合わせて、地域の研究者、学生、市民等 約100名が熱心に聴講に訪れ、郷土の歴史的文化財への関心の深まりがうかがえました。

 9月5日、市主催の秋期連続講演会において、市長の挨拶に続き、本学フレスコ壁画センター長の宮下孝晴教授が「中世洞窟教会に描かれた壁画の歴史的重要性」について講演を行いました。  翌6日、本センター主催の研究成果発表会では、調査研究の成果とともに構築中のデジタルアーカイブの一部を紹介し、壁画の移築・保存を行っているエットーレ・ポマリチ財団博物館に、三次元スキャンデータによって正確に形成されたサン・ヴィート・ヴェッキオ教会の樹脂模型(1/60)を贈呈しました。
成果を発表する宮下孝晴教授
 今回の南イタリアの洞窟教会壁画調査には、文化庁文化財部 古墳壁画室の建石 徹 古墳壁画対策調査官、奈良文化財研究所 埋蔵文化財センターの高妻 洋成 保存修復科学研究室長、伝統文化課文化財国際協力室 香取 雄太 協力推進係長が同行しました。 研究成果発表会では、建石 墳壁画対策調査官から「東日本大震災における文化財被害と文化財レスキュー事業の概要」について報告がありました。
洞窟教会を視察する文化庁関係者