「日伊文化財協力事業ワークショップ」をフィレンツェで開催
金沢大学フレスコ壁画研究センター・文化庁連携事業

ワークショップ風景

 南イタリア中世壁画群診断調査プロジェクトを展開する金沢大学フレスコ壁画研究センターは、1月19日、20日の2日間にわたり、文化庁と共催して「日伊文化財協力事業ワークショップ」をイタリア国立フィレンツェ修復研究所等で開催しました。この事業は、日伊の壁画の保存手法等に関する比較研究を行うことにより文化遺産の保存修復に貢献すること、また、日本の文化庁とイタリア文化財・文化活動省が文化財保護に関する政府間交流を通して、行政官及び研究者、技術者が壁画の保存修復と活用の調和に関する専門的な意見交換を行うこと等を目的として開催されたものです。

ワークショップ風景

 ワークショップには、イタリア側から国立フィレンツェ修復研究所のマルコ・チャッティ副所長、チェチリア・フロジニーニ壁画部長、専任修復士等5名が参加、日本側からは、文化庁文化財部伝統文化課文化財国際協力室田中健太郎室長補佐、文化財部古墳壁画室建石徹古墳壁画対策調査官、奈良文化財研究所降幡順子主任研究員及び金沢大学フレスコ壁画研究センター長宮下孝晴教授ほか研究員2名が参加しました。

 はじめに金沢大学宮下教授がフィレンツェのサンタ・クローチェ教会壁画修復・復元プロジェクトの現状と経過を説明、文化庁建石調査官から「日本における壁画の保存」、降幡主任研究員から「高松塚古墳壁画の科学的調査」について発表があり、イタリア側からは「イタリアの壁画修復・保存の実情」について報告がありました。その後種々の意見交換を行い、両国の最新の研究情報を共有しました。また、サンタ・クローチェ教会大礼拝堂の壁画修復現場、国立フィレンツェ修復研究所のラボ等の視察、ピサのカンポサント及びシノピア博物館等も訪れ、イタリアの壁画修復・保存の技術及び実情を視察しました。

 文化庁側から、本ワークショップの成果として、金沢大学が日伊共同で推進する南イタリア中世壁画群プロジェクトは、日本の古代壁画の保存の在り方を考える上で参考となる例であり、今後、さらに日伊の研究者の交流を深め、金沢大学フレスコ壁画研究センターとも連携して研究調査を進め、日本の壁画の保存科学の進展に寄与したいとの抱負が述べられ、大変有意義な2日間となりました。

ワークショップ風景